古物商の資格とは?取得条件・費用・申請の流れを徹底解説

私は行政書士として8年、許認可申請をサポートしてきました。古物商の相談は本当に多い。今回は、許可が必要なケース、取得条件、費用19,000円や約40日という日数、申請の流れ、そして取得後に意外と見落とされる義務まで、一通り解説します。
この記事を読めば、自分に許可が必要か判断でき、申請の段取りまで描けるはずです。
古物商の資格とは?まず知っておきたい基本

古物商は、古物営業法に基づく行政許可です。法人または個人が、利益を目的に中古品を売買・交換するときに必要になります。国家資格ではなく、試験もありません。
そもそも古物商とは何か(言葉の意味)
古物とは、一度使用された物品を指します。新品でも、使用のために一度取引された物品や、それらに手入れをした物品も古物に含まれます。
つまり『誰かの手に渡ったことのある品物』を扱う商売、と考えるとイメージしやすい。中古車、古着、ブランド品、古本など、対象は幅広いです。
「資格」ではなく「許可」である理由
ここを誤解している方が本当に多いんです。古物商は、勉強して試験に受かる『資格』ではありません。営業所を管轄する警察署に書類を出し、都道府県公安委員会から得る『許可』です。
東京の場合は警視庁が窓口になります。条件を満たして書類が整っていれば、原則として許可されます。
なお『古物査定士』という民間認定資格もありますが、これは協会のスキルアップ講座であり、許可取得には不要です。混同しないようご注意を。
古物商許可が必要な取引・不要な取引
判断の軸はシンプルです。『利益を目的に中古品を仕入れて売る』なら許可が必要。たとえば古着屋で買った服をネットショップで転売する場合がこれにあたります。
| 取引の例 | 許可 |
|---|---|
| 中古品を仕入れて転売する | 必要 |
| 買い取った品を修理して売る | 必要 |
| 自分が使っていた私物を売る | 不要 |
| 無償でもらった物を売る | 不要 |
自分の不用品をフリマアプリで売るだけなら許可はいりません。ただし『売る目的で仕入れる』と一線を越えます。ここの線引きは後ほど詳しく触れます。
古物商の資格を取得する前に確認すべき条件
許可は誰でも取れるわけではありません。古物営業法第4条で『欠格事由』が定められていて、これに該当すると申請しても通りません。営業所や管理者の準備も必要です。

申請できない人の条件(欠格事由)
過去の経歴で取れないケースを心配される方が多いので、先に整理します。
| 該当する人 | 内容 |
|---|---|
| 特定の犯罪歴がある人 | 刑の執行終了から5年を経過していない場合 |
| 破産者 | 破産手続開始決定を受け、復権していない人 |
| 住所不定者 | 住居の定まっていない人 |
| 暴力団員等 | 暴力団員、または離脱から5年未満の人 |
| 未成年者 | 原則として申請不可 |
| 許可取消歴のある人 | 古物商許可の取消しから5年未満の人 |
逆に言えば、ここに当てはまらなければ過度に身構える必要はありません。私が関わった案件でも、大半はこの欠格事由をクリアして申請に進めています。
営業所をどこに設定するか
営業所は、許可申請の住所の基準になる大事な要素です。自宅を営業所にすることもできます。
ただし賃貸物件や集合住宅だと、契約上の使用目的や管理規約で『事業利用不可』となっているケースがある。ここで一度つまずく方が実際にいます。使用承諾の確認は早めに。
個人で申請するか法人で申請するか
申請は個人でも法人でもできます。私の率直な意見を言うと、まず副業や小規模で始めるなら個人で十分です。
法人申請は役員全員の書類が必要になり、手間が増えます。最初から法人で本格的にやる予定がある人以外は、個人申請から入るのが現実的です。
管理者を決める
営業所ごとに、管理者を1人選任します。管理者の要件は、その営業所に常勤できること、許可取得者本人または従業員であること、欠格事由に該当しないこと。
個人申請なら、本人が管理者を兼ねるのが一般的です。
古物の13品目と取扱品目の選び方
申請書には『どの品目を扱うか』を記載します。古物は古物営業法施行規則で13品目に分類されています。ここを適当に決めると、後で扱いたい品目が漏れて困ることがあります。

13品目の区分一覧
| 区分 | 主な品物 |
|---|---|
| 美術品類 | 絵画、書、彫刻など |
| 衣類 | 古着、着物、布製品 |
| 時計・宝飾品類 | 時計、貴金属、宝石 |
| 自動車 | 中古車、その部品 |
| 自動二輪車・原付 | バイク、その部品 |
| 自転車類 | 自転車、その部品 |
| 写真機類 | カメラ、レンズ、光学機器 |
| 事務機器類 | パソコン、コピー機など |
| 機械工具類 | 工作機械、電動工具 |
| 道具類 | 家具、楽器、ゲーム、日用品全般 |
| 皮革・ゴム製品類 | バッグ、靴など |
| 書籍 | 古本 |
| 金券類 | 商品券、切手、チケット |
せどり・転売・古物市場など目的別の選び方
品目選びのコツは『主に扱うものを主たる品目にし、扱う可能性があるものも申請しておく』こと。
本のせどりなら『書籍』、アパレルの転売なら『衣類』、家電やゲームを幅広く扱うなら『道具類』『事務機器類』あたりが軸になります。後から品目追加もできますが、変更届の手間がかかるので、最初に幅を持たせておくのが私のおすすめです。
ネット売買・フリマアプリ利用時の注意点
ネットで売買する場合、ホームページやプロフィール上で古物商であることや許可番号を表示する必要が出てきます。
そして仕入れ時の本人確認。オークションサイトやフリマアプリでの仕入れでも、相手の本人確認と取引記録の保存義務はついて回ります。匿名取引が手軽だからと省略すると、後で問題になります。
古物商の資格取得にかかる費用と日数

費用が想定外に膨らむのは避けたいところですよね。結論から言うと、自分で申請すれば実費は申請手数料の19,000円が中心。期間は申請受理から約40日が目安です。
申請手数料19,000円の内訳
申請手数料は19,000円。警察署で販売する証紙、または会計機で支払います。これは許可が下りなくても返ってこない費用です。
このほかに、住民票や身分証明書などの取得実費が数百円から千円程度かかります。
行政書士に依頼した場合の費用
行政書士に頼む場合は、上記の実費に加えて報酬がかかります。事務所によって幅があるため、具体的な金額はここでは断定しません。見積もりを取って比較してください。
正直に言うと、書類を集める時間が取れる人なら自分で申請できます。一方、平日に警察署へ行く時間が取りにくい人や、法人申請で書類が多い人は、依頼する価値があります。
許可までの標準処理期間(約40日)
申請が受理されてから、土日祝を除いて約40日で許可が下ります。
つまり書類準備の期間も含めると、思い立ってから営業開始まで2か月近く見ておくと安心です。開業日が決まっているなら、逆算して早めに動きましょう。
古物商許可申請の流れと必要書類
ここからは実際の手順です。流れは、事前相談 → 書類収集・記入 → 提出 → 約40日後に許可、という順番。提出先は営業所を管轄する警察署の生活安全課です。

警察署への事前相談
いきなり書類を作る前に、管轄警察署の生活安全課に一度相談することを私は強く勧めます。
管轄ごとに求められる書類が微妙に違うことがあるからです。営業所の図面が必要だったり、賃貸の使用承諾書を求められたり。事前に聞いておけば、二度手間を防げます。
必要書類を取り寄せて記入する
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 許可申請書 | 警察署窓口・公安委員会サイト |
| 住民票の写し | 市区町村役場 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 |
| 略歴書 | 自分で作成 |
| 誓約書 | 自分で作成(様式あり) |
| 営業所の賃貸契約書の写し等 | 賃貸の場合 |
身分証明書は、運転免許証のことではありません。本籍地の役場が発行する、破産者でないことなどを証明する公的書類です。ここを取り違える方が多いので注意してください。
書類の提出先と提出方法
そろえた書類は、営業所を管轄する警察署の生活安全課に提出します。手数料19,000円もこのとき納めます。
郵送ではなく、原則として窓口に出向く形です。担当者がその場で内容を確認します。
記入ミスや却下を避ける注意点
却下ややり直しを防ぐコツを、現場目線でいくつか。
略歴書は直近5年分の経歴を空白期間なく書く。営業所の住所と賃貸契約・使用承諾の名義をそろえる。品目は迷ったら広めに申請する。この3点を押さえるだけで、差し戻しはかなり減ります。
許可取得後に発生する義務とリスク
許可を取って終わりではありません。ここを見落とすと違反になります。台帳の記帳、本人確認、プレートの掲示。そして無許可営業には3年以下の懲役または100万円以下の罰金という重い罰則があります。

古物台帳の記帳と本人確認義務
一定額以上の取引では、相手の本人確認と取引内容の記録(古物台帳への記帳)が義務付けられています。
記録は一定期間の保存も必要です。ネット仕入れでも例外ではありません。面倒に感じても、ここは盗品流通を防ぐための制度の根幹なので、省略は禁物です。
古物商プレート(標識)の掲示義務
営業所には、決められた様式の古物商プレート(標識)を掲示します。許可番号や氏名・名称が記載されたものです。
これは作成・掲示が義務です。掲示していないと指導の対象になります。許可が下りたら、まずプレートを用意してください。
許可なし営業の罰則(3年以下の懲役・100万円以下の罰金)
許可を取らずに古物営業を行うと、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
『不用品を売るだけ』と『仕入れて売る』の境目は曖昧に見えて、法律上ははっきりしています。転売で利益を出すつもりなら、必ず先に許可を取る。これは強くお伝えしておきます。
取得後の変更手続きとよくある疑問

取得後に状況が変われば、届出が必要です。住所、管理者、営業所の変更などが対象。法人成りや複数県での営業についてもよく質問を受けます。
住所・管理者・営業所変更時の届出
氏名や住所、管理者、営業所の所在地などが変わったら、変更届を提出します。
放置すると違反になりかねません。引っ越しや管理者交代があったら、早めに管轄警察署へ届け出てください。
法人成りや複数都道府県で営業する場合
よくある誤解が『個人で取った許可をそのまま法人に引き継げる』というもの。これはできません。個人と法人は別人格なので、法人成りしたら法人として新たに許可を取り直す必要があります。
複数の都道府県に営業所を設ける場合の扱いは、制度改正もあり管轄で確認が必要です。具体的なケースは、必ず管轄警察署または専門家に確かめてください。
確定申告について
古物商として利益が出れば、確定申告が必要になります。古物商許可は税務とは別の制度ですが、事業として続けるなら避けて通れません。
古物台帳と帳簿づけを最初から習慣にしておくと、申告の時期に慌てずに済みます。私が見てきた中でも、ここを後回しにした人ほど苦労していました。
よくある質問
最後に一つだけ。古物商で迷う人の多くは『自分に許可が必要か』で止まっています。仕入れて売る予定があるなら、答えは必要、です。まずは管轄警察署への事前相談から動いてみてください。
