古物商の資格(許可)とは?費用・取り方・必要書類を徹底解説

私は行政書士として、古物商の申請を数多くお手伝いしてきました。結論から言うと、必要なのは19,000円の手数料と書類の準備、そして警察署での手続きだけ。試験勉強はいりません。
この記事では、許可が必要になる取引の線引き、無許可営業の罰則、費用と期間、必要書類、取得後の義務まで、申請の現場で確認した情報をもとに一気に解説します。読み終えたら、明日から準備を始められるはずです。
古物商の資格(許可)とは?基本をわかりやすく解説

まず言葉の整理から。「古物商資格」という国家資格は存在しません。正しくは、古物営業を行うための「古物商許可」です。
この許可は、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会が出します。制度の目的は、盗品の売買を防ぎ、万が一盗品が流通したときに素早く発見すること。古物営業法第1条にはっきり書かれています。
古物商許可が必要になる取引とは
ざっくり言うと、中古品やリサイクル品を「反復継続して」売買する事業には許可が必要です。一度使われた物、または使われるために取引された物が「古物」にあたります。
線引きで迷うのはここ。自分が使うために買った物を、いらなくなって売る——これは原則として許可不要です。最初から転売目的で仕入れて売り続けるなら、許可がいる。判断の軸は「営利目的で繰り返すか」です。
「資格」ではなく「許可」である点に注意
古物商は試験で取得する資格ではありません。許可制です。だから「合格率」も「テキスト」もない。
代わりに問われるのは、欠格事由に当てはまらないかどうか。書類を揃え、警察署を通して申請すれば、要件を満たす限り許可されます。私が見てきた限り、勉強よりも書類集めのほうがよほど手間です。
フリマアプリ・せどり・転売との関係
フリマアプリで不要品を売るだけなら、許可はいりません。問題は「仕入れて売る」を繰り返すケース。せどりや転売を事業として行うなら、古物商許可の対象になります。
正直に言うと、ここを曖昧にしたまま続けている方は少なくありません。でも反復継続して利益を出している時点で、税務署も警察も「事業」と見ます。早めに取っておくのが安全です。
古物商許可を取らずに営業するとどうなる?無許可のリスク
許可なしで古物営業をすると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。これは古物営業法に定められた、れっきとした刑事罰です。

無許可営業の罰則の内容
「バレないだろう」と考える人もいますが、フリマやネット販売の取引履歴は残ります。罰金100万円のリスクに対し、許可手数料はたった19,000円。天秤にかけるまでもありません。
しかも一度刑罰を受けると、その後5年間は許可が下りなくなる可能性があります。無許可営業は、将来の正規の道まで塞ぐ行為です。
許可されない人(欠格事由)の具体例
申請しても許可されない条件を、欠格事由と呼びます。これは申請者本人だけでなく、法人なら役員全員、各営業所の管理者にも適用されます。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 犯罪歴 | 一定の犯罪で罰金以上の刑を受け、一定期間が経過していない |
| 破産 | 破産手続開始の決定を受け、復権していない |
| 住所 | 住所が定まっていない(住所不定) |
| 過去の取消し | 古物商許可を取り消され、5年を経過していない |
自分が当てはまるか不安な方へ。過去の破産は復権していれば問題ありませんし、軽微な交通違反は対象外です。心配なら申請前に管轄警察署で確認するのが確実です。
古物商許可の取得にかかる費用と期間の目安
気になる費用は、申請手数料の19,000円が基本です。期間は、愛知県警察の案内で申請から40日前後とされています。試験がない分、お金も時間も読みやすいのが古物商許可の特徴です。

申請手数料などの費用
許可申請の手数料は19,000円。これは警察署に納める金額で、許可が下りなくても返ってきません。
このほか、住民票の写しや身分証明書を取り寄せる際の数百円程度の費用がかかります。標識(古物プレート)の作成費も別途必要です。
標準処理日数(取得までの期間)の目安
取得までの期間は、愛知県警察が申請から40日前後と案内しています。土日を除いた審査日数なので、実際は1か月半ほど見ておくと安心です。
開業日を決めている方は、逆算して早めに申請してください。書類に不備があると審査が止まり、さらに延びます。
自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合の比較
自分でやるか、専門家に頼むか。判断材料を表にしました。
| 項目 | 自分で申請 | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 手数料 | 19,000円 | 19,000円 |
| 報酬 | なし | 別途発生 |
| 書類集めの手間 | 自分で全部 | 代行・案内あり |
| 警察署への往復 | 自分で複数回 | 代行可能な場合あり |
| 不備リスク | 自分で対応 | 専門家が確認 |
私の正直な意見を言えば、役員が1人の個人申請なら自分でも十分やれます。一方で法人で役員が複数いる場合や、本業が忙しくて警察署に何度も行けない方は、頼んだほうが結局早い。ここは状況で割り切るところです。
古物商許可の申請の流れと必要書類

手続きの窓口は、営業所を管轄する警察署です。許可を出すのは公安委員会ですが、書類は警察署の生活安全課に提出します。
申請場所と提出先(警察署)
まずは管轄警察署に電話して、担当者にアポを取ります。いきなり行っても窓口が空いていないことがあるからです。
事前に相談しておくと、必要書類のチェックリストをもらえることが多い。これが地味に役立ちます。
個人で申請する場合の必要書類
警視庁の案内では、個人申請で略歴書と本籍記載の住民票の写しが必要とされています。代表的な書類をまとめます。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 許可申請書 | 古物営業法施行規則の様式に記入 |
| 住民票の写し | 本籍(外国籍は国籍等)記載のもの |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村が発行 |
| 略歴書 | 過去5年分の経歴 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しない旨 |
身分証明書は、運転免許証のことではありません。本籍地の役所が出す、破産していないことを証明する公的書類です。ここを勘違いする方が本当に多い。
法人で申請する場合の注意点(役員全員の書類)
法人申請でつまずきやすいのが、役員全員分の書類が必要な点です。住民票・身分証明書・略歴書・誓約書を、監査役を含む全役員について揃えます。
役員が遠方に住んでいると、本籍地の市区町村から郵送で取り寄せることになり、ここで時間を食います。法人は早めに動き出してください。
ネット売買・営業所の設定の注意点
ホームページやフリマアプリで古物を売買するなら、申請時にURLの届出が必要です。これを忘れると追加で手続きが発生します。
自宅を営業所にする場合、賃貸物件だと使用承諾書を求められることがあります。大家さんや管理会社に『古物商の営業所として使う』承諾を取っておくと、後でもめません。
取り扱える13品目の区分と選び方
古物は13の品目に区分されています。申請時に取り扱う品目を選びますが、最初は実際に扱う品目だけで十分。後から追加もできます。

13品目の具体例
| 品目 | 具体例 |
|---|---|
| 美術品類 | 絵画、書、骨董品 |
| 衣類 | 古着、布団、敷物 |
| 時計・宝飾品類 | 腕時計、指輪、貴金属 |
| 自動車 | 中古車、その部品 |
| 自動二輪車・原付 | バイク、その部品 |
| 自転車類 | 中古自転車、部品 |
| 写真機類 | カメラ、レンズ、望遠鏡 |
| 事務機器類 | パソコン、コピー機 |
| 機械工具類 | 工作機械、電話機 |
| 道具類 | 家具、楽器、ゲーム、CD |
| 皮革・ゴム製品類 | バッグ、靴 |
| 書籍 | 古本 |
| 金券類 | 商品券、切手、乗車券 |
中古車販売など品目別の注意点
自動車を扱う場合、駐車スペースや保管場所の状況を聞かれることがあります。警察署によって確認の細かさが違うので、事前相談で確認しておくのが確実です。
金券類は盗難・換金トラブルが多い分野。本人確認が特に厳しく見られます。安易に選ばず、本当に扱うものだけにしましょう。
古物市場(業者間取引)への参加要件
プロ同士が売買する古物市場に参加するには、古物商許可が前提です。許可証や名刺の提示を求められる市場も多い。
逆に言えば、許可さえあれば仕入れの幅が一気に広がります。せどりを本格化したい方には、古物市場は大きな武器になります。
許可取得後に必要な義務と手続き
許可は取って終わりではありません。盗品防止という制度の目的から、帳簿の記帳や標識の掲示といった義務が課されます。ここを守れないと、最悪は許可取消しもあり得ます。

帳簿の記帳・本人確認・取引記録の保存
一定額以上の古物を買い取るときは、相手の本人確認と取引内容の記録が必要です。取引の年月日、品目、特徴、相手の住所氏名などを帳簿に残します。
この帳簿は3年間の保存義務があります。面倒に感じますが、盗品が出たときに自分の身を守る証拠にもなる。きちんとつけておきましょう。
古物プレート(標識)の掲示義務と作り方
営業所には、古物商であることを示す標識(プレート)を見やすい場所に掲示する義務があります。様式は法令で決まっています。
作り方は二通り。古物商の防犯協会で購入するか、規定の様式に従って業者に作成を依頼するかです。自作も可能ですが、サイズや記載内容のルールを外すとやり直しになります。
許可証の有効期限・変更届・主たる営業所等届出制度
古物商許可に有効期限はありません。一度取れば更新不要です。これは運転免許と違って楽な点。
ただし、住所や営業所、役員、扱う品目などが変わったら変更届が必要です。複数の都道府県に営業所を持つ場合は、主たる営業所を一つ届け出る制度があり、手続きが一本化されます。
税務面の注意点(確定申告・インボイス制度)

古物商許可は警察の管轄ですが、利益が出れば当然、税務も関わってきます。許可と納税は別の話。ここを混同しないでください。
確定申告が必要になる場合
古物の売買で得た利益は、事業所得や雑所得として確定申告の対象になります。副業でも、一定の所得を超えれば申告が必要です。
帳簿をきちんとつけていれば、申告作業もぐっと楽になります。古物商の取引記録と会計の帳簿は、別物ですが連動させると効率的です。
消費税・インボイス制度への対応
取引先が事業者で、相手が仕入税額控除を求めるなら、インボイス(適格請求書)の発行を検討する場面が出てきます。古物市場での取引が多い方は特に意識したいところです。
ここは個々の事業規模で判断が分かれます。迷ったら税理士に相談を。許可申請は私たち行政書士、税務は税理士、と役割を分けるのが現実的です。
古物商許可についてよくある質問
申請の現場でよく受ける質問を、3つに絞って答えます。

よくある質問
最後に一言。古物商許可は、試験勉強がいらない分、書類集めが勝負です。今日できる一歩は、管轄の警察署に電話してアポを取ること。そこから動き出せば、1か月半ほどで許可証が手元に届きます。
