古物商許可の更新手続きは不要!必要な変更届出と書換申請を解説

ただし、何もしなくていいわけではありません。氏名や住所、営業所などが変わったときは「変更届出」か「書換申請」が必要です。これを怠ると罰金や許可取消しのリスクがあります。
この記事では、行政書士として古物商申請を扱ってきた私が、更新が不要な理由・必要な手続きのやり方・期限の数え方・手数料・罰則まで、自分のケースで何をすべきか判断できるように整理します。
古物商許可に更新手続きは不要!まず知るべき結論

結論から言います。古物商許可に更新はありません。一度取れば、廃業しない限り効力は続きます。
…と、いきなり見出しの順番を崩しかけました。正しい階層で進めます。

古物商許可に更新手続きは不要!結論と理由
まず全体像です。なぜ更新がいらないのか、期限のある他の許認可と何が違うのかを押さえておくと、後の手続きの理解が早くなります。

古物商許可証には有効期限の記載がありません。警視庁の手続き案内を見ても、古物商の手続きとして案内されているのは「変更届出」と「書換申請」だけで、更新制度は出てきません。
なぜ更新が不要なのか。古物営業法には許可の有効期間を定めた規定がなく、許可が一度下りればその効力が継続する仕組みだからです。許可後に取消事由が生じない限り、許可は生き続けます。
ここが他の許認可との大きな違いです。期限のある許認可と比べると分かりやすいので表にしました。
| 許認可 | 有効期限 | 更新手続き |
|---|---|---|
| 古物商許可 | なし | 不要(変更時のみ届出) |
| 建設業許可 | 5年 | 5年ごとに更新申請が必要 |
| 風俗営業許可 | 原則なし(営業所単位) | 変更時に承認・届出が必要 |
| 宅地建物取引業免許 | 5年 | 5年ごとに更新申請が必要 |
建設業許可を扱ったことがある方ほど「古物も5年で切れるのでは」と勘違いしがちです。私の事務所でも、この問い合わせは毎年来ます。古物は更新不要、ここは断言できます。
更新の代わりに必要な「変更届出」と「書換申請」

更新がない代わりに、登録した内容が変わったら手続きが必要です。種類は2つ。許可証そのものに書かれている内容が変わるなら書換申請、それ以外なら変更届出です。
変更届出は、許可申請書に記載した事項を変えたとき・変えようとするときに、その都度必要になります。愛知県警察も「許可申請書に記載した事項を変更しようとするとき又は変更したときは、その都度、変更届出が必要」と案内しています。
書換申請は、許可証の券面に印字された事項が変わる場合です。古物営業法第5条第1項各号(第2号を除く)の事項の変更について、警視庁が届出と書換の手続きを案内しています。
許可証に書かれているか、いないか。これが判別の基準です。手元の許可証を見て、変更したい項目がそこに印字されているなら書換申請、印字されていないなら変更届出、と覚えてください。
| 変更する内容 | 許可証に記載あり? | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 氏名・名称 | あり | 書換申請+変更届出 |
| 住所・居所 | あり | 書換申請+変更届出 |
| 法人の代表者氏名 | あり | 書換申請+変更届出 |
| 行商をするかどうか | あり | 書換申請+変更届出 |
| 役員(代表者以外) | なし | 変更届出のみ |
| 営業所の名称・所在地 | なし | 変更届出のみ |
| 取扱品目(古物の区分) | なし | 変更届出のみ |
| ホームページのURL | なし | 変更届出のみ |
許可証記載事項が変わるケースは、書換申請と変更届出の両方が必要になることが多い点に注意してください。「書換だけで済んだ」と思い込むと届出漏れになります。
変更届出・書換申請の手続きのやり方
ここからは実際の手順です。私が窓口で確認してきた流れに沿って、迷わないように並べます。

所要時間の目安は、書類がそろっていれば窓口提出は30分前後。難易度はそれほど高くありません。前提として、手元に許可証と、変更内容を証明できる書類(住民票や登記事項証明書など)を用意してください。
必要書類は、変更内容によって変わります。共通して必要なのが変更届出書(と該当する場合は書換申請書)です。
| 変更内容 | 主な添付書類 |
|---|---|
| 氏名変更(個人) | 住民票の写し、本籍記載のもの |
| 住所変更(個人) | 住民票の写し |
| 代表者・役員変更(法人) | 登記事項証明書、住民票、誓約書など |
| 営業所の新設・移転 | 賃貸借契約書の写しや使用承諾書など |
| URL追加 | プロバイダ等からのURL使用権限疎明資料 |
次に申請書の記入です。各都道府県警のホームページから様式がダウンロードできます。記載は、許可証番号・許可年月日・氏名(名称)・変更前の事項・変更後の事項を順に埋めるだけ。難しい計算は一切ありません。
つまずきやすいのが「変更前」の欄を空欄にしてしまうこと。何を何に変えたかが分かるよう、変更前・変更後を両方書きます。ここまで埋まっていれば記入は正しくできています。
提出先は管轄の警察署です。愛知県警察によると、変更届出は営業所等の所在地を管轄する警察署、書換申請は主たる営業所等の所在地を管轄する警察署が窓口です。
提出後、書換申請なら新しい許可証が交付されます。窓口で受付印のある控えをもらえたら、その手続きは完了です。控えは必ず保管してください。後日「届け出ていない」と言われたときの証拠になります。
届出の期限・手数料・申請方法の詳細
ここが一番ミスの起きやすいところです。期限の数え方を間違えると、それだけで罰則の対象になり得ます。

事後の届出は、変更があった日から14日以内が原則。登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内です。警視庁の案内にそのまま明記されています。
起算日は「変更があった日」。たとえば3月1日に住所が変わったなら、3月1日を1日目として数えます。土日祝で窓口が閉まっていても期限は延びない前提で、早めに動くのが安全です。
一方、変更予定が分かっている場合は事前の届出が必要なケースがあります。警視庁は、変更日の3日前までに変更予定年月日と変更事項を記載した届出書を出す「事前の届出」を案内しています。営業所の新設・移転などが該当します。
手数料は明快です。変更届出は無料。書換申請は1,500円。愛知県警察がそう案内しています。
| 手続き | 期限 | 手数料 |
|---|---|---|
| 事前の届出 | 変更日の3日前まで | 無料 |
| 変更届出(事後) | 変更日から14日以内 | 無料 |
| 登記事項証明書を添付する変更届出 | 変更日から20日以内 | 無料 |
| 書換申請 | 変更後すみやかに | 1,500円 |
郵送やオンライン申請の可否は、都道府県によって対応が分かれます。窓口提出が原則の地域が多いので、郵送・電子可否は提出先の警察署に事前確認するのが確実です。ここは「できる前提」で動かないでください。
行政書士に頼むか、自分でやるか。正直に言うと、氏名や住所の変更だけなら自分でやるのが早いです。費用をかける必要は感じません。
一方、法人の役員変更や営業所移転がからむと、添付書類が増えて期限管理も難しくなります。ここは依頼を検討する価値があります。代行費用は事務所により幅がありますが、書類収集と期限管理を丸ごと任せられる安心料、と私は説明しています。
古物商許可の取り直しが必要になるケース

変更届出では対応できず、許可を取り直す必要がある場合があります。代表的なのが個人から法人への切り替えです。
個人で取った古物商許可は、その個人のものです。法人化しても引き継げません。法人として新たに許可を取り直す必要があります。
手順はこうです。1.法人を設立する。2.法人名義で新規の古物商許可を申請する。3.許可が下りたら営業を法人へ移す。4.不要になった個人の許可は廃業(返納)の手続きをする。順番を守らないと、無許可営業の空白期間が生まれます。
2020年4月1日の法改正にも触れておきます。この改正で営業所ごとの届出が義務化されました。それ以前に許可を取り、営業所の届出をしていない場合は、変更届出による対応が必要です。未対応のまま放置すると指導対象になり得ます。
取り直し(新規申請)の標準処理期間は、福岡県警察の案内で40日間とされています。法人化を予定しているなら、この期間を見込んでスケジュールを組んでください。
新規申請の手数料は19,000円とする案内が広く見られますが、金額は提出先の都道府県警の申請案内で必ず確認してください。今回確認できた一次情報のうち、福岡県警ページには手数料額の記載がなく、愛知県警ページは変更手数料のみを示しています。
手続きを怠るとどうなる?罰則とリスク
「うっかり届出を忘れた」では済みません。古物営業法には罰則があり、変更届出を怠ると10万円以下の罰金が科される可能性があります。

金額の大小よりも怖いのが、許可への影響です。所在不明などが続くと「簡易取消し制度」によって許可そのものを取り消される可能性があります。住所変更を届け出ず、警察からの連絡が届かない状態が典型的なリスクです。
複数の営業所がある場合や、他県にまたがる場合の届出先も整理しておきます。書換申請は主たる営業所の所在地を管轄する警察署が窓口です。営業所を移転するときは、移転先の管轄だけでなく、従来の届出先との関係も確認してください。判断に迷ったら、主たる営業所の管轄署に電話で聞くのが一番確実です。
| 状況 | 起こり得ること |
|---|---|
| 変更届出を怠る | 10万円以下の罰金の可能性 |
| 住所変更を届け出ず連絡不能 | 簡易取消し制度で許可取消しの可能性 |
| 法人化後も個人許可で営業 | 無許可営業に該当するおそれ |
古物商許可の手続きでよくある質問
窓口や相談でよく受ける質問をまとめました。自分のケースに近いものから確認してください。
よくある質問
最後に一つだけ。今日できる一歩は、許可証を取り出して登録内容と現状がズレていないか見比べることです。氏名・住所・営業所・URL。ひとつでも変わっていたら、14日(または20日)の期限が動き出していると考えて、すぐ管轄署に連絡してください。
