古物商許可の取り方|申請手順5ステップと必要書類・費用を解説

- 古物商許可の申請先は、営業所を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)です。
- 申請手数料は19,000円で、審査の標準期間は約40日です。
- 無許可で古物営業をすると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
- 個人申請では本人と管理者の略歴書・住民票・誓約書が必要です。
- ネットショップで売るなら、URLの使用権限を示す資料の提出が求められます。
私は行政書士として、古物商を含む許認可申請を8年扱ってきました。窓口で実際に確認した内容と公式情報をもとに、読んだ翌日に動ける形で手順を並べます。
古物商許可とは?取得が必要なケースと不要なケース

古物商許可とは、中古品を反復継続して売買・交換するために古物営業法にもとづいて受ける都道府県公安委員会の許可です。
そもそも古物商許可とは何か・なぜ必要か
古物営業法の目的は、盗品等の売買を防止し、被害品が出回ったときに速やかに発見することにあります。
だから取引の記録を残させ、許可制で営業者を把握する。これが許可がいる根本の理由です。
許可が必要なケースと不要なケース
中古品を買い取って売る、修理して売る、部品を売る、委託で売る、交換する、レンタルする、国外に輸出して売る、これらをネット上で行う場合も古物営業に当たります。
一方で、自分が使っていた不用品を売るだけなら許可はいりません。最初から転売目的で仕入れたかどうかが分かれ目です。
古物の13品目の区分
古物は法令上13の品目に区分されています。申請時に取り扱う品目を選ぶので、自分の商材がどれに当たるかを先に整理しておくと早いです。
| 品目 | 主な取扱い例 |
|---|---|
| 美術品類 | 絵画、書、彫刻、骨董 |
| 衣類 | 古着、着物、布団 |
| 時計・宝飾品類 | 腕時計、指輪、貴金属 |
| 自動車 | 中古車、その部品 |
| 自動二輪車・原付 | バイク、その部品 |
| 自転車類 | 中古自転車、部品 |
| 写真機類 | カメラ、レンズ、双眼鏡 |
| 事務機器類 | パソコン、コピー機 |
| 機械工具類 | 電動工具、医療機器 |
| 道具類 | 家具、楽器、ゲーム、玩具 |
| 皮革・ゴム製品類 | バッグ、靴 |
| 書籍 | 古本 |
| 金券類 | 切手、商品券、チケット |
複数品目を扱う予定なら、関係しそうなものはまとめて選んでおく方があとで楽です。後から品目を増やすにも変更届が要ります。
無許可営業の罰則リスク
無許可で古物営業を行うと、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される規定があります。
「バレないだろう」で始める人がいますが、ネット販売はむしろ足がつきやすい。私は無許可のまま始めることは勧めません。
申請前に確認したい欠格事由と前提条件
申請前にまず確認すべきは、自分や管理者が欠格事由に該当しないか、そして営業所が用意できるかの2点です。

許可を受けられない欠格事由の一覧
古物商許可は、欠格要件に該当しないことが前提です。ここに引っかかると、書類が完璧でも不許可になります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 破産 | 破産手続開始の決定を受けて復権していない人 |
| 前科 | 一定の罪で拘禁刑などを受け、一定年数を経過していない人 |
| 許可取消 | 古物営業法違反で許可を取り消されて一定年数を経過していない人 |
| 未成年 | 営業に関し成年と同一の能力を有しない未成年者 |
| 管理者の欠格 | 選任する管理者が欠格要件に該当する場合 |
細かい年数要件は法令で定められています。自分が該当しそうか不安なら、申請前に管轄署へ匿名で相談しておくと安心です。
営業所と管理者の選任要件
営業所ごとに管理者を1名置く必要があります。
管理者は実際にその営業所で業務を管理できる人。遠隔地に住んでいて通えない人を名前だけ置く、というのは認められません。
個人事業で自分ひとりなら、申請者本人が管理者を兼ねるのが普通です。
賃貸物件を営業所にできるかの確認方法
賃貸マンションでも営業所にできますが、使用権限を示せることが条件です。
賃貸借契約書の使用目的が「居住専用」になっていると、警察から使用承諾書を求められることがあります。
古物商許可の取り方(5ステップの申請手順)
古物商許可は「事前相談→書類収集→手数料納付→申請→審査・受領」の流れで取得します。所要時間は書類集めに1〜2週間、審査に約40日、難易度は個人なら独力で十分可能です。

手順1:管轄の警察署(防犯係)へ事前相談
まず営業所を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)へ電話し、必要書類と来署予約を確認します。
署によって添付書類の運用が微妙に違います。最初に一度聞いておくと、二度手間が確実に減る。ここまでで「窓口の担当部署と必要書類リストが手元にある」状態になっていれば正しいです。
手順2:必要書類を集める(個人の場合)
個人申請では、本人と管理者について略歴書・住民票が必要で、ほかに誓約書などを添えます。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 許可申請書 | 施行規則別記様式第1号。警察署やウェブで入手 |
| 住民票の写し | 本籍記載のもの。本人と管理者分 |
| 略歴書 | 直近5年分の経歴。本人と管理者分 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しない旨。本人と管理者分 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村で取得(運転免許証ではない) |
つまずきやすいのが「身分証明書」。これは運転免許証ではなく、本籍地の役所が出す書類です。郵送請求もできるので早めに動いてください。
手順3:申請費用19,000円を納付する
申請手数料は19,000円です。
多くの都道府県では警察署で証紙を購入して納付します。この手数料は審査で不許可になっても返ってきません。書類を整えてから出すのが鉄則です。
手順4:申請書を提出する
書類一式は管轄警察署の生活安全課へ提出します。
窓口で担当者が書類をその場で点検します。不足があれば差し戻されるので、コピーを手元に残しておくと再提出が楽です。受理されれば「申請完了」、あとは審査を待つだけです。
法人で申請する場合と書類の追加要件

法人申請では、個人の書類に加えて登記事項証明書・定款などが必要で、さらに役員全員分の書類を集める点が最大の違いです。
法人申請で必要になる書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局で取得する会社の登記情報 |
| 定款の写し | 事業目的に古物営業に関する記載が望ましい |
| 役員全員の住民票 | 本籍記載のもの |
| 役員全員の略歴書・誓約書 | 欠格事由の確認のため |
| 管理者の書類 | 住民票・略歴書・誓約書 |
定款の事業目的に古物に関する記載がないと、補正を求められることがあります。気になるなら申請前に署へ確認してください。
役員全員分が必要な書類
住民票・略歴書・誓約書は、代表者だけでなく監査役を含む役員全員分が必要です。
ここを甘く見て代表分しか用意せず差し戻される法人を、私は何度も見てきました。役員が多い会社ほど早めに着手してください。
個人申請との違いと注意点
個人は本人と管理者の2名分で済みますが、法人は役員数に比例して書類が増えます。
審査・受け取りと申請でつまずく失敗例の対処法
審査は約40日かかり、許可が下りると警察署から連絡が入り、署で許可証を受け取ります。

審査期間(約40日)と許可証の受け取り
審査期間の標準は約40日と案内されています。土日を含むかどうかは運用差があるので、余裕を見ておくと安心です。
許可が出たら署から電話が来て、本人が出向いて許可証を受け取ります。これで晴れて営業開始です。
不許可・差し戻しになる典型的な失敗例
差し戻しの多くは書類不備で、特に身分証明書の取り違えと営業所の使用権限不足が二大原因です。
- 身分証明書を運転免許証で代用してしまう(正しくは本籍地役所発行のもの)。
- 賃貸の使用承諾書がなく、営業所として認められない。
- 略歴書の期間に空白があり、補正を求められる。
- 定款の事業目的に古物の記載がない(法人)。
- 役員の一部しか書類をそろえていない(法人)。
うまくいかないときの相談先と再申請のコツ
うまくいかないときは、まず差し戻した担当者に「何を補えば受理されるか」を具体的に聞くのが最短です。
自力が厳しければ古物商に強い行政書士へ。手数料19,000円は再申請でも改めて必要になる場合があるので、出す前に固めきることが何より大事です。
ネットショップで中古販売する際の注意点と運用
ネットショップで古物を扱うなら、URLの使用権限を示す資料の提出と、サイトへの許可番号表示、非対面取引の本人確認が必須です。

URLの届出に必要な書類
自分のサイトで古物を販売する場合、そのURLを使用する権限を示す資料の提出が求められます。
独自ドメインなら登録情報が分かる書面、モール出店なら出店者情報の画面の写しなどを用意します。署によって求める形が違うので事前確認が確実です。
許可番号の表示と非対面取引の本人確認
ネット販売では、サイト上に許可した公安委員会名・許可番号・氏名(名称)を表示する義務があります。
さらに、相手と対面しない取引では、相手の本人確認をする義務があります。買い取りを非対面で行うなら、本人確認の手順をあらかじめ仕組み化しておくと安全です。
古物台帳の記載項目と電子保存
一定の取引は古物台帳に記録し、保存する義務があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引年月日 | 売買・交換した日付 |
| 区分 | 買受け・売却などの別 |
| 品目・数量 | 取り扱った古物の種類と数 |
| 特徴 | 型番、製造番号など識別できる情報 |
| 相手方 | 氏名・住所など |
| 本人確認の方法 | 確認に用いた手段 |
台帳は紙でも、要件を満たせば電子データでも保存できます。受発注データをそのまま台帳項目にひもづけておくと、後の管理がぐっと楽になります。
営業所の標識(プレート)の掲示義務
営業所には、決められた様式の標識(プレート)を見やすい場所に掲示する義務があります。
プレートには許可番号・氏名(名称)・取り扱う古物の区分を記載します。ネット専業でも営業所がある以上、掲示は必要です。
取得後に必要な各種変更届出と継続管理

許可は取って終わりではなく、住所・営業所・氏名・品目などが変わるたびに変更届を出す義務があります。
住所変更・営業所追加・廃業などの届出方法
変更があったときは、管轄警察署へ変更届出書を提出します。
| こんなとき | 手続き |
|---|---|
| 氏名・住所が変わった | 変更届出書を提出 |
| 営業所を移転・追加した | 変更届出書と関連書類を提出 |
| 管理者を交代した | 新管理者の書類を添えて届出 |
| 取扱品目を増やした | 変更届出書を提出 |
| 営業をやめた | 廃業届を提出 |
届出には期限があります。後回しにして失念すると指導の対象になるので、変更が起きたらすぐ動いてください。
複数の都道府県で営業する場合の扱い
許可は営業所を管轄する公安委員会から受けるため、別の都道府県に営業所を増やすときは、その営業所分の届出が必要です。
以前は都道府県ごとに許可が必要でしたが、法改正で取り扱いが整理されました。複数拠点を考えるなら、主たる営業所をどこにするかから相談すると話が早いです。
確定申告・帳簿管理と税務の関係
古物商として得た利益は事業所得などとして確定申告が必要で、古物台帳とは別に帳簿・領収書の管理が要ります。
古物台帳は防犯目的、会計帳簿は税務目的。役割が違うので両方そろえます。私は仕入記録を最初から両方に使える形で残すよう勧めています。
行政書士への代行依頼とよくある質問
行政書士に代行を頼むと手間は省けますが、手数料19,000円とは別に報酬がかかります。自分で出すか頼むかは、書類集めにかけられる時間で決めるのが現実的です。

代行費用の相場とメリット・デメリット
正直に言うと、個人で品目もシンプルなら自力で十分取れます。代行が効くのは法人や役員が多いケース、賃貸の権限関係が複雑なケースです。
メリットは書類の不備による差し戻しを避けられること。デメリットは費用が上乗せされること。役員の多い法人ほど、頼む価値は大きくなります。
メルカリで仕入れた品の転売も許可が必要か
メルカリやヤフオクで仕入れた中古品を、利益目的で反復して売るなら古物商許可が必要です。
仕入れ先がフリマアプリでも判断は変わりません。自分の不用品を売るだけなら不要、転売目的なら必要、という線引きです。
古物市場への参加と古物市場主許可の違い
業者間で古物を売買する古物市場に参加するには古物商許可が必要ですが、その市場を自分で開設・運営するには別の「古物市場主許可」が必要です。
参加する側と、場を開く側で許可が分かれる。市場に出入りして仕入れたいだけなら、古物商許可で足ります。
よくある質問
最後に一言。古物商許可は、書類さえ正しくそろえば個人でも問題なく取れます。今日できる最初の一歩は、管轄警察署の防犯係に電話して必要書類リストをもらうこと。それだけで一気に前に進みます。
