古物商開業の必要書類一覧|個人・法人別の準備と費用を解説

- 古物商の開業には、営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可が必要です。
- 個人申請の基本書類は、許可申請書・住民票の写し・身分証明書・略歴書・誓約書の5点です。
- 法人申請では、これに加えて定款の写しと登記事項証明書が必要になります。
- 申請手数料は19,000円で、不許可でも返金されません。
- 標準処理期間は土日祝を除いて約40日が目安です。
私は行政書士として、古物商の許可申請を8年ほどサポートしてきました。窓口で何度もやり直しになる人を見てきたので、つまずきやすい点も含めて書いています。
古物商開業に必要な書類とは?まず結論から

古物商開業に必要な書類は、個人なら「許可申請書・住民票の写し・身分証明書・略歴書・誓約書」の5点が基本です。
愛知県警察の案内でも、個人申請の添付書類として略歴書・住民票の写し・誓約書・身分証明書が挙げられています。
古物商許可とは何か(中古品を売買する人が取る許可)
古物商許可とは、一度使われた物や使われなかったが取引された物(=古物)を、業として売買・交換するために必要な許可です。
ざっくり言えば、中古品を仕入れて売る商売をするなら取る、という許可です。リサイクルショップ、中古車販売、古着の転売、これらは全部この許可がいります。
なぜ開業に許可と書類が必要なのか
古物の取引には盗品が紛れ込むリスクがあり、それを防ぐために警察が取引者を把握しておく必要があるからです。
だから「誰が、どこで、どんな品目を扱うのか」を書類で証明させ、公安委員会が許可を出す仕組みになっています。身分証明書や誓約書を求められるのも、この趣旨に沿っています。
許可が必要なケースと不要なケース
利益を出す目的で中古品を仕入れて転売するなら許可が必要、自分の不要品を売るだけなら不要、というのが基本的な線引きです。
たとえば自宅にある着なくなった服をフリマアプリで売るのは許可不要。一方、転売目的で他人から安く仕入れて売るなら許可が必要です。ここを勘違いしたまま始める人が本当に多い。
古物商開業に必要な書類一覧(個人と法人で違う)
必要書類は個人と法人で異なり、法人は個人の基本5点に加えて定款の写しと登記事項証明書が必要です。

さらに、役員や営業所の管理者がいる場合は、その人たちの分の書類も必要になります。ここが抜けやすいポイントです。
| 書類 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 許可申請書 | 必要 | 必要 |
| 住民票の写し(本籍記載) | 必要 | 役員全員分が必要 |
| 身分証明書 | 必要 | 役員全員分が必要 |
| 略歴書 | 必要 | 役員全員分が必要 |
| 誓約書 | 必要 | 役員全員分が必要 |
| 定款の写し | 不要 | 必要 |
| 登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
出典は愛知県警察と警視庁の案内です。警視庁は、略歴書・住民票の写し・誓約書・身分証明書を「本人と営業所の管理者のものが必要」と明記しています。
個人で申請する場合に必要な書類
個人申請は、許可申請書・住民票の写し・身分証明書・略歴書・誓約書の5点が基本です。
住民票は「本籍または国籍が記載されたもの」を取る点に注意してください。普段マイナンバーカードで取る住民票では本籍が省略されていることがあり、これだと使えません。
法人で申請する場合に必要な書類
法人申請は、個人の基本5点(役員全員分)に、定款の写しと登記事項証明書を加えます。
愛知県警察は、略歴書・住民票の写し・誓約書・身分証明書を「役員に係る書類」として役員全員分を求めています。役員が3人いれば、3人分そろえる必要があります。
正直、ここが一番大変です。遠方に住む役員がいると、住民票や身分証明書の取り寄せに時間がかかります。早めに動いてください。
ホームページやフリマアプリを使う場合の追加書類
自社サイトやフリマアプリで非対面取引をする場合は、そのURLの使用権限を疎明する資料が追加で必要です。
疎明とは「そうである可能性が高いと示すこと」。具体的には、ドメイン登録情報のプリントアウトや、プロバイダから届く登録通知などで、自分がそのURLを使う権限を持つことを示します。
賃貸の営業所で必要になる使用承諾書
賃貸物件を営業所にする場合、管轄警察署の判断で使用承諾書の提出を求められることがあります。
賃貸借契約書に「事業利用可」と書かれていれば不要なこともありますが、住居専用の契約だと別途、大家さんから承諾書をもらう必要が出ます。実務では事前に警察署へ確認するのが確実です。
各書類の中身と取り寄せ方を一つずつ解説
書類は「申請書(自分で書く)」と「役所で取る書類」に分かれ、取得先と書き方を押さえれば迷いません。

ここでは特につまずきやすい4点を、取り方と書き方に分けて解説します。
許可申請書の記入のポイント
許可申請書は様式第1号(その1〜その4)で1通、警察署の窓口や各都道府県警のサイトで入手できます。
記入で迷うのは「扱う古物の区分(13品目)」の欄です。主に扱う品目に丸を付けますが、迷ったら関係しそうな品目を広めに選んでおくほうが後で楽です。空欄や書き間違いがあると差し戻されます。
住民票の写しの取り方
住民票の写しは、住んでいる市区町村の役所窓口、またはマイナンバーカードを使ったコンビニ交付で取れます。
繰り返しになりますが、必ず「本籍記載あり」で取ってください。窓口で申請するときに「本籍を入れて」と一言伝えるだけです。マイナンバー(個人番号)は記載しないものを取ります。
身分証明書の取り方(運転免許証とは別物)
古物商でいう身分証明書は、運転免許証ではなく、本籍地の市区町村長が発行する公的書類です。
これは「破産手続開始の決定を受けていない」「成年被後見人等でない」ことを証明する書類で、本籍地でしか取れません。本籍が遠方なら郵送請求が使えます。住民票と身分証明書はどちらも郵送で取り寄せ可能です。
略歴書・誓約書の書き方
略歴書は最近5年間の経歴を記載し、誓約書は欠格事由に該当しないことを誓う書類です。
略歴書は職歴を年月とともに5年分埋めるだけ。無職の期間があれば「無職」と正直に書いて構いません。誓約書は様式が決まっているので、署名・押印して提出します。法人なら役員全員分が必要です。
書類の取得費用と申請手数料はいくらかかる

自分で申請する場合、書類の発行手数料と申請手数料19,000円を合わせて、おおむね2万円台に収まります。
行政書士に頼むと、これに数万円の報酬が上乗せされます。費用の内訳を見ていきましょう。
住民票・身分証明書などの発行手数料一覧
住民票や身分証明書の発行手数料は自治体ごとに金額が異なるため、ここでは目安として整理します。正確な額は各市区町村の案内で確認してください。
| 書類 | 取得先 | 郵送請求 |
|---|---|---|
| 住民票の写し(本籍記載) | 住所地の市区町村 | 可 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村 | 可 |
| 登記事項証明書(法人) | 法務局 | 可 |
| 定款の写し(法人) | 自社保管のものを写し | — |
発行手数料の正確な金額は自治体ごとに違うため、本記事では具体額を断定しません。ただ、各書類数百円程度で、合計しても数千円というのが実務上の肌感覚です。
許可申請の手数料
古物商許可の申請手数料は19,000円です。
freeeや業界系の解説記事はいずれも19,000円としています。料金は最終的に都道府県警察の案内で確認するのが確実です。
行政書士に依頼した場合の費用相場との比較
自分で申請すれば申請手数料19,000円+書類実費で済み、行政書士に頼むとそこに報酬が加わります。
報酬の相場は事務所によって幅があるため金額は断定しませんが、判断の目安はこうです。役員が多い法人、本籍が遠方、平日に役所へ行く時間が取れない人は、依頼する価値が大きい。逆に個人で時間が取れるなら、自分でやって十分です。
私の本音を言えば、個人申請で書類5点なら、自分でやれる人がほとんどです。
申請の流れと許可が下りるまでの日数の目安
申請は管轄警察署の窓口で行い、許可が下りるまでの標準処理期間は土日祝を除いて約40日が目安です。

つまり、書類を出してから1か月半ほどで許可証が交付される計算です。開業日から逆算して動きましょう。
申請窓口(管轄の警察署)はどこか
申請窓口は、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)です。
許可を出すのは公安委員会ですが、書類の受付窓口は警察署になります。事前に電話で予約を求める署も多いので、いきなり行かず一本連絡を入れておくとスムーズです。
申請から許可取得までのスケジュール感
標準処理期間は約40日(土日祝を除く)と案内する警察関連情報があります。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 書類を取り寄せ・作成 | 1〜2週間 |
| 2 | 管轄警察署へ申請(手数料19,000円) | 1日 |
| 3 | 審査(標準処理期間) | 約40日(土日祝除く) |
| 4 | 許可証の交付・受け取り | 審査完了後 |
添付書類の多くは発行後3か月以内が目安とされる解説もあります。古い住民票を出すと取り直しになるので、書類は申請直前にそろえてください。
電子申請・オンライン対応の状況
古物商許可の申請は、現状では警察署窓口への書面提出が基本です。
一部の手続きで電子化が進む動きはありますが、対応状況は都道府県によって差があります。確実なのは管轄警察署に直接確認すること。オンラインで完結できると思い込んで準備すると、結局窓口へ行くことになります。
許可が下りないケースと申請の失敗を防ぐ注意点
許可が下りない主な理由は「欠格事由に該当する」「書類に不備がある」の2つで、どちらも事前に防げます。

手数料19,000円は不許可でも戻らないので、ここは丁寧に確認しておきましょう。
欠格事由(許可されない条件)の具体例
欠格事由とは、これに当てはまると許可が下りない条件のことです。
代表的なのは、破産手続開始の決定を受けて復権していない人、一定の犯罪歴がある人、過去に古物商許可を取り消されてから一定期間が経っていない人などです。誓約書と身分証明書は、まさにこの欠格事由に該当しないことを確認するために提出します。
よくある書類の不備・却下事例と対処法
最も多い不備は、住民票を本籍記載なしで取ってしまうことです。
| よくある不備 | 対処法 |
|---|---|
| 住民票に本籍が入っていない | 「本籍記載あり」で取り直す |
| 身分証明書を運転免許証で代用 | 本籍地の市区町村で発行を受ける |
| 役員・管理者の書類が抜けている | 全員分そろえる |
| 古い書類を提出(発行から時間経過) | 申請直前に取得し直す |
| URLの疎明資料がない(非対面取引) | ドメイン登録情報などを用意 |
これらはどれも、事前に管轄警察署へ一度確認すれば避けられます。窓口で「この内容で大丈夫ですか」と聞くひと手間が、40日の待ち時間を無駄にしないコツです。
扱う品目(13品目)の選び方と該当例
古物は13の品目に区分されており、自分が扱う物に該当する品目を申請書で選びます。
たとえば中古車なら「自動車」、古着なら「衣類」、中古スマホやパソコンなら「事務機器類」や「機械工具類」といった具合です。迷ったら、扱う可能性のある品目を広めに選んでおくと、後から品目を追加する手間を減らせます。
許可取得後に必要な手続きと義務

許可を取った後は、古物商プレートの掲示と帳簿の記録という2つの義務が発生します。
取って終わりではありません。ここを怠ると、せっかくの許可が処分の対象になります。
古物商プレートの作成と掲示
許可取得後は、営業所の見やすい場所に古物商プレート(標識)を掲示する義務があります。
プレートには許可番号や氏名、扱う品目を記載します。決まったサイズ・様式があり、警察署で案内される書式に沿って業者に作成を依頼するか、自分で規格どおりに用意します。
帳簿の記録義務
古物商は、一定金額以上の取引について、相手方や品物を帳簿に記録する義務があります。
いつ、誰から、何を、いくらで仕入れた(または売った)かを記録します。これは盗品の流通を追跡するための仕組みで、記録の保存期間も定められています。日々の取引でこまめに付ける習慣をつけてください。
変更届・更新・廃業の手続き
住所・氏名・役員・営業所・扱う品目などに変更があったら、変更届を提出する必要があります。
古物商許可そのものに更新(有効期限)はありませんが、変更があったのに届け出ないのは違反です。営業をやめるときは廃業の届出も必要になります。引っ越しや法人の役員交代があったら、早めに管轄警察署へ連絡してください。
古物商開業の必要書類に関するよくある質問
ここでは、開業前に多く寄せられる3つの疑問に、結論から答えます。

よくある質問
最後に一つだけ。書類は5点でも、本籍記載の住民票と本籍地でしか取れない身分証明書、この2つの取得が地味に時間を食います。今日のうちに、自分の本籍がどこかを確認しておいてください。それが一番早い第一歩です。
