フリマで古物商は必要かどうか|判断基準と取得方法を解説

私は行政書士として、古物商の申請を8年ほど扱ってきました。実際の窓口で「これって許可いるんですか」と相談される件数が、ここ数年フリマアプリ利用者で一気に増えています。
この記事で分かるのは、許可が必要かどうかの線引き、判断に使えるチェックリスト、無許可で売り続けたときの罰則、そして必要だった場合の取り方と費用です。読んだ翌日に動けるところまで書きます。
フリマで古物商許可は必要?まず結論から

古物営業法は、許可を受けずに古物営業を行うことを禁じています。ポイントは「業として」中古品を売買するかどうか。ここが全ての分かれ目です。
自分の不用品を売るだけなら許可は不要
着なくなった服、読み終えた本、使わなくなった家電。こうした自分の不要品を売るだけなら、許可はいりません。
メルカリの公式ヘルプでも、個人間の不要品売買は原則として古物営業法の対象外と案内されています。お小遣い稼ぎで家の物を処分する分には、何も届出はいりません。
仕入れた中古品を転売するなら許可が必要
一方、売るために仕入れた中古品を転売するなら話は別です。
リサイクルショップやフリマで安く買った物を、利益を乗せて売る。これを繰り返すなら「業として」の古物営業にあたり、古物商許可が必要になります。最初から売る目的で手に入れた物がカギです。
判断に迷うときの基本の考え方
私が相談を受けたとき、最初に必ず聞くのは2点です。「それは元々あなたが使うために買った物ですか?」「売って利益を出すことを目的に、何度も続けますか?」。
前者がイエスで後者がノーなら、ほぼ許可は不要。逆に、売る前提で仕入れて反復するなら必要。迷ったらこの2軸で考えてください。
そもそも古物商許可とは?古物営業法の基礎知識
なぜこんな法律があるのか。理由が分かると判断もブレません。古物営業法は盗品の流通を防ぐためにあります。

古物営業法の目的をやさしく解説
中古品の市場は、盗まれた物が紛れ込みやすい場所です。
そこで国は、中古品を扱う業者に許可制と取引記録の義務を課しました。盗品が出回ったとき、どこから来たかをたどれるようにするためです。許可は「あなたを管理する」というより「流通の透明性を保つ」ための仕組みだと理解すると腑に落ちます。
「古物」とは何か(中古品の定義)
古物とは、ざっくり言えば一度使われた物、または使うために取引されて未使用のまま流れた物です。
ここで意外なのは、一度人の手に渡れば未使用品でも古物に含まれる点。新品で買ったけど一度も使わずにフリマに出す転売用の在庫、これも仕入れて売れば古物営業の対象になり得ます。
フリマで扱いやすい古物13品目と注意点
古物営業法では古物を13の品目に分類します。許可申請では、自分が扱う品目を選んで届け出ます。
| 品目 | フリマでの例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 美術品類 | 絵画・骨董 | 真贋確認が難しい |
| 衣類 | 古着・ブランド服 | 数が多く反復しやすい |
| 時計・宝飾品類 | 腕時計・指輪 | 高額で盗品リスクが高い |
| 自動車 | 中古車 | 別途扱いに注意 |
| 自動二輪車・原付 | バイク | 部品も対象になる |
| 自転車類 | 中古自転車 | 防犯登録の確認 |
| 写真機類 | カメラ・レンズ | 転売需要が高い |
| 事務機器類 | パソコン周辺 | 型番管理が必要 |
| 機械工具類 | 電動工具 | 業務転売が多い |
| 道具類 | 家具・ゲーム・玩具 | フリマで最多の領域 |
| 皮革・ゴム製品類 | バッグ・靴 | ブランド品の偽物注意 |
| 書籍 | 本・コミック | 少額でも反復に注意 |
| 金券類 | 商品券・チケット | 換金性が高く厳格 |
特に「道具類」はゲーム・家具・雑貨など範囲が広く、フリマで最も扱われます。複数品目をまたぐ販売をするなら、申請時に該当品目をまとめて選んでおくと後が楽です。
許可が必要かどうかを分ける2つの基準
「業として」の中身は、大きく「営利目的」と「反復継続」の2つで判断されます。両方そろうと古物営業に近づきます。

「営利目的」とは何か(目安となる考え方)
営利目的とは、利益を出すために売ること。
自分が3年使った財布を相場で手放すのは営利目的とは言いにくい。でも、買取相場より明らかに高く売る前提で安く仕入れた物なら、利益を狙った行為です。仕入れ値と売値の差で稼ぐ意図があるかが見極めどころです。
「反復継続」とは何か(回数・頻度の目安)
正直に言うと、法律は「年間何回以上ならアウト」とは数字で定めていません。ここを断言する記事は注意してください。
実務では、仕入れ→販売を繰り返すパターンがあるかどうかで見ます。月に何度も仕入れて出品を回しているなら、回数が少なくても「継続」と評価されやすい。一回限りの大量処分より、コンスタントな転売の方が危ういのが実感です。
不用品か仕入れ品かを見分けるチェックリスト
私が相談者に渡している簡易チェックです。1つでも「はい」が多ければ古物商寄りと考えてください。
| 質問 | はい=転売寄り | いいえ=不用品寄り |
|---|---|---|
| 売る目的で買った物か | はい | いいえ |
| 仕入れと販売を繰り返しているか | はい | いいえ |
| 利益(差額)を狙っているか | はい | いいえ |
| 同じ種類の商品を多数扱うか | はい | いいえ |
| 自分や家族が使っていた物か | いいえ | はい |
上3つがすべて「はい」なら、ほぼ確実に許可が必要です。逆に最後だけ「はい」で他がノーなら、不要と考えて大丈夫です。
古物商許可がいらないケース・必要なケースの具体例

抽象論だけでは動けないので、具体例で線引きします。メルカリ公式の案内も交えます。
許可なしで売れるケース(不用品・ハンドメイド・新品など)
許可がいらない代表例を挙げます。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 自分や家族の不要品を売る | 古物営業に当たらない |
| 自作のハンドメイド品を売る | 中古品の取引ではない |
| 自分で使うつもりで買った新品を手放す | 転売目的の仕入れではない |
| 無料でもらった物を売る | 仕入れていない |
ハンドメイド作品は自分が作った新品なので、そもそも古物にあたりません。ここを誤解して許可を取ろうとする方をよく見ますが、不要です。
許可が必要なケース(転売・仕入れ・継続販売)
逆に必要になるのは、仕入れと利益が絡む継続販売です。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 安く仕入れた中古品を利益を乗せて売る | 営利目的の古物売買 |
| リサイクル品をまとめ買いして転売 | 反復継続の営業 |
| 古物市場で仕入れて販売 | 業としての取引 |
| メルカリShopsで中古品を販売 | 公式が許可必要と案内 |
特にメルカリShopsで中古品を販売する場合は、メルカリ公式が古物商許可を必要と明記しています。個人アカウントの不要品売買とは扱いが違う点に注意してください。
メルカリ・ラクマなどアプリ別の届出の違い
許可を取った後、アプリ上でショップURLの届出が求められる場合があります。これはアプリごとに窓口や運用が異なります。
私が確認した範囲では、各社のヘルプや出店フローで対応が変わります。最新の手順は必ず各アプリの公式ヘルプで確認してください。古い解説記事の手順をうのみにすると、現状と合わないことがあります。
無許可で販売を続けるとどうなる?罰則とペナルティ
ここが一番気になる方も多いはず。無許可の古物営業には、法律上の罰則があります。

古物営業法違反の罰則の具体例
無許可で古物営業をした場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金の可能性があります。
「知らなかった」は通用しません。仕入れて転売を続けていれば、本人にその意識がなくても古物営業と判断されることがあります。
フリマアプリ側のアカウント停止などの措置
法律とは別に、アプリ側のルール違反でアカウントが止まることもあります。
無許可の転売や規約違反が疑われると、出品制限やアカウント停止につながります。せっかく育てた評価ごと使えなくなるのは、罰金とは別の痛手です。
実際に問題になりやすいパターン
私が相談で見てきた中で、危ういのは次のパターンです。
同じカテゴリの中古品を毎月大量に出品している人。仕入れ先のレシートと出品履歴がそろってしまう人。利益を出すと公言している人。こうしたケースは、不要品処分とは説明しづらくなります。
古物商許可の取り方と費用・必要書類
自分のケースで必要だと分かったら、次は取得です。申請先は営業所のある地域を管轄する公安委員会で、実際の窓口は警察署になります。

申請の流れと取得までの期間
おおまかな流れは、書類準備→警察署で申請→審査→許可です。
許可までの目安はおおむね40日。土日を除いた日数なので、実際は2か月近くかかる感覚です。販売開始の予定から逆算して、早めに動くのをおすすめします。
費用と必要書類の一覧
申請手数料は19,000円です。これは不許可でも返ってきません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請手数料 | 19,000円 |
| 住民票の写し | 本籍記載のもの |
| 身分証明書 | 本籍地の役所で取得 |
| 誓約書 | 欠格事由に当たらない旨 |
| 略歴書 | 直近の経歴 |
| URLの疎明資料 | ネット販売をする場合 |
ネットで販売するなら、使うURLの使用権限を示す疎明資料が要ります。フリマアプリのショップページなどがこれにあたります。
個人と法人での申請の違い
個人で取るか法人で取るかで、書類の量が変わります。
法人の場合は、定款や登記事項証明書に加え、役員全員分の書類が必要です。最初は個人で取り、事業が育ったら法人化を考える人が多い印象です。少額のフリマ転売なら、まず個人で十分でしょう。
難しければ行政書士に依頼する
正直なところ、書類集めは慣れていないと面倒です。
本籍地が遠方だと身分証明書の取り寄せだけで時間を食います。平日に警察署へ行く余裕がない人や、一度で通したい人は行政書士に頼む選択もあります。費用はかかりますが、差し戻しのストレスを買わずに済みます。
許可取得後にやるべきこと(実務の注意点)

許可は取って終わりではありません。むしろここからが本番です。表示義務や帳簿の管理が始まります。
帳簿付け・取引記録の保存義務
古物商には、取引の記録を残す義務があります。
いつ・誰から・何を・いくらで仕入れ、誰に売ったか。これを帳簿に残します。盗品の流通をたどるための仕組みなので、面倒でも省けません。フリマ転売でも、仕入れ先の記録は必ず残しておいてください。
本人確認などの義務
許可を受けると、氏名などの表示義務が生じます。警視庁も案内している点です。
一定額以上の取引では、相手の確認が求められる場面もあります。仕入れる側として、誰から買ったかを把握しておく姿勢が大切です。
開業届・確定申告など税務との関係
古物商許可は許認可の話、税金は別の話です。両方そろって初めて「ちゃんとした事業」になります。
反復継続して利益を出すなら、税務署への開業届と確定申告が必要になります。古物商許可だけ取って申告を忘れる人がいますが、ここは抜け落ちやすい盲点です。販売を本格化するなら、税務もセットで考えてください。
よくある質問(FAQ)
よくある質問
最後にひとこと。迷ったら「売る目的で仕入れているか」を自分に問うてください。答えがイエスなら、出品を増やす前に許可を取っておく。後から摘発やアカウント停止に怯えるより、よほど気楽に売れます。

